中島静代 第5回ドラムサークル for ウェルネスでの学びの実践

中島静代 第5回ドラムサークル for ウェルネスでの学びの実践

昨日は毎月訪れている、高齢者デイサービス(参加者12名)でのドラムサークルでした。さっそく「ドラムサークル for ウェルネス」で学んだLisaさんの「Golden Groove」と飯田さんからの学びを随所に取り入れたドラムサークルにチャレンジしました。
 
Lisaさんにならって、ジングルスティックを持ってベースを叩こうと思いましたが、ジングルスティックがなかったので、小さなスレイベルを左手に持ってベースを叩きました。これはこれで「良い音」と好評でした。
 
「今日はリズムに合わせて体も動かしてみましょう!」と言うと、皆さんの反応が良くて、まずは一安心です。基本的にはLisaさんに教えてもらったプロトコルに沿って進めたのですが、参加者の皆さんの様子を見ながら色々アレンジしたので、その辺りを書き留めておきたいと思います。
 
私は、ベースドラムを叩きながらの運動の教示は無理だと思っていたので、一回ベースドラムを止めて、リズムに乗った言い回しで教示する方法にしました。すると、全員でその言い回しを繰り返しながら運動をするという、面白い発展がありました。
 
しかし、運動に合わせてベースドラムを叩き始めると、私を見倣い、タイコを叩き始める人がいたので、割り切って運動の時はみんなと一緒に身体を動かしました。認知症の方が多いグループの場合は、その方が良いのかなと思いました。ここでは、次回もその方法で行こうと考えているので、その為に、もっとリズムと親和性のある、洗練された日本語の教示を考えたいと思いました。
 
運動については、ほとんどのものは良好だったのですが、Lisaさんが行った「Criss Cross Apple Sauce on your drum」の、左右、前後の手の動きを交互に繰り返すものについては、明らかに戸惑ったり、できないことに困惑される方が多数いました。
 
この施設のスタッフでもあり、ドラムサークルをサポートしてくれている柏市社会福祉協議会ドラムサークルファシリテーター育成講座3期生のマリリンから終了後、「特にアルツハイマー型の認知症の方は、一つの教示の中に2つの動作が入ると混乱してしまうので、一つの教示で一つの動作にした方が良いと思う」とアドバイスをもらいました。
 
それから、途中でベースを止めて運動を行った弊害かもしれませんが、パートに合わせてベースのリズムの変化させても、参加者の皆さんのリズムのグルーヴ感に変化が見られないというのがありました。パートが進むにつれ、タイコを叩く音はどんどん大きくなり、皆さんがリズムと運動を楽しんでいるのが伝わってきましたが、グルーヴ感の発展は、やはりファシリテーター初心者の私には、なかなか難しいものがありました。
 
ベースリズムを変化させたとき、参加者の皆さんの単調な演奏との間に、違和感を感じたので、しばらく叩いて元のパターンに戻してしまいました。これは私の未熟さにも拠るところが大きいと思うので、今後の大きな課題です。
 
ソロタイムは「コール&エコー」に変えて、カウベルを持って皆さんのところを回ったのですが、ここでは飯田さん直伝の、下からカウベルをそっと当てる方法が、とても役に立ちました。
 
参加者のお一人に、自発的な運動がほとんどできない方がおられ、毎回スタッフの方が手を添えて叩かれていたのですが、今回はスティックに手を添えるだけにしてもらい、私が下からカウベルを当てて、リズムを鳴らしてもらいました。とても嬉しそうな表情で涙を流され、こちらも感激しました。
 
またこの方には、今回スタッフの方に手を添えて叩くのをやめてもらい、車椅子に座った膝の上にフレームドラムを置き、その上に手を乗せ、リズムの振動を楽しんでもらうようにしました。その方が、ご自分で参加している感覚をより強く持っていただけるように思ったのと、介助のスタッフの方にもドラムサークル を楽しんでもらいたいとの思いからでした。
 
ラストは、参加者の皆さんが好きなトーンチャイムによるドラムサークルを行いました。
今回は、Lisaさんが研修の中で「あなたのGolden Grooveを作れば良いのよ」と言ってくれたことで、気負いすぎることなくチャレンジできたように思います。
 
ユニークな動きを披露してくれた人にスポットを当てて、次の運動に取り入れてみたり、教示の言葉が参加者の皆さんのアイデアでどんどん変わっていったのは、ドラムサークルならではの嬉しいハプニングなのかなと思いました。
 
参加者の皆さんからの感想もすごくいい感触で、リズムに合わせて身体を動かすことを楽しんでもらえたようでした。椅子に座りながらなので、安全に、でもリズムのおかげで満足感のある運動に繋がったように思います。
 
終了後のサポートのマリリンとの振り返りでは、次回も「Golden Groove」を取り入れること、しかし時間をもう少しコンパクトにして、本来のドラムサークルにも時間を十分取れるようにすることなどを決めました。
 
ファシリテーターがコントロールしすぎず、参加者さんが自発的に取り組んだ感覚を持ってもらえるよう「Golden Groove」とドラムサークルのバランスを自分なりに模索したいと思います。
 
中島静代